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CPQ導入で変わる製造業の受注プロセス

更新日:5月16日



CPQとはConfigure,Price,Quoteを組み合わせた造語です。

日本では、まだ一般的に知られていない「CPQ」というITソリューションですが、欧米を中心に製造業のDXには欠かせないITソリューションとして普及しています。「CPQ」は見積業務を効率化させるソリューションという説明をされることが多いのですが、実際の恩恵は見積業務の効率化だけにとどまりません。本コラムでは、CPQの概要や、従来の営業スタイルに縛られている製造業の課題、CPQ導入による影響についてお話します。


 

目次

 

CPQの概要と特徴


CPQとは「Configure」「Price」「Quote」の頭文字をとった言葉です。「Configure」は「要求に対して最適な仕様を組合わせた製品仕様を作る機能」、「Price」は「提案する製品仕様に対して、見積価格を提示する機能」、「Quote」は「契約に必要な見積書など文書の作成・管理機能」を意味します。

CPQとはつまり、顧客要求に適した製品仕様を作り、その製品仕様に対して規定のルールに基づき価格を確定し、最後に見積書や仕様書を使い契約を行う一連の業務のことを言いますが、一般的には、それらの業務を支援するITソリューションのことです。

製造業がCPQを導入する場合には、単体で導入することよりも、CRMやERPなど他のITシステムと連携して活用されるのが一般的です。これらのITシステムが一連で連携することにより、一部の業務効率化ではなく、グローバルでの売上拡大や全体最適な受注プロセスに変えることによる「生産性の向上」を目指します。

CPQが適切に機能していれば、顧客が求める仕様が確定した段階で、すぐに見積を提示することができるようになります。営業担当が訪問先で顧客の要求仕様を確認し、そのまま概算を出すことも可能です。また、顧客自身がWebサイトを訪問し、製品仕様を入力して見積を確認できるシステムもあります。CPQを生産システムに連携することで、生産管理全体を効率化することも可能です。

欧米を中心とした海外においては、組立型の製造業がDXを行うといえば「Configurator(コンフィグレータ)」を導入することが一般的であり、営業が受注プロセスで使う「Configurator(コンフィグレータ)」である、「Sales Configurator(セールスコンフィグ)」のことを、CPQと呼ぶようになった。そして今ではCPQという一つのカテゴリが確立、CPQ市場ができあがっている状況にあります。

つまり、CPQは欧米企業を中心に、グローバル市場でビジネスをしている多くの企業で活用されています。CQPを導入している産業は、金融やサービスなど幅広くあり、特に製造業においてはDXを進める上でのキーソリューションという位置付けとなっています。近年では日本製造業の中からも、グローバル市場を主戦場とする大企業を中心に、CPQを導入する企業が大幅に増えてきており、ここ数年で急速に注目度が上がってきているITソリューションなのです。


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日本製造業の課題の多くは「販売モデル」にある


日本の製造業は、「いい”もの”を作る」ことに対して、非常に洗練されたモデルを確立してきましたしかし、このようなものづくりモデルの絶え間ない洗練化は、主に「生産モデル」側の活動に偏っているというのも事実としてあります。そして、この「生産モデル」変革への投資に比べて、「販売モデル」変革、モノを売る仕組みに対しては、あまり投力をかけられていないのが実情ではないでしょうか。

特に、B2B製造業は一度確立した既存顧客との関係性の中で中長期的に成長してきたという歴史もあり、既存の商流における商習慣を変えること、つまり「販売モデル」の変革にはインセンティブを感じてこなかったというのが現場における本音なんだと思います。

しかし、それは日本国内市場というドメスティックな市場においてだけのこと。グローバル市場では従来から「販売モデル」変革は、世のデジタル技術の累進的な発展を背景に大いに進められている領域であり、マーケティングやセールス領域のITシステム投資規模(IT市場規模)は、生産側に引けを取らないほど活況な状況にあります。

従って、日本製造業がグローバル市場にビジネスを展開していくにあたり、この「販売モデル」に関する投資不足、一周遅れのような状況が、大きな課題として立ちふさがっているのです。

それでは、この「販売モデル」において、特に今回ご紹介するCPQが関係する受注プロセスにクローズアップし、かねてより問題視されていた具体的な課題について考えてみましょう。


国内の営業スタイルにあう属人性の高い「販売モデル」

日本製造業の「販売モデル」では、これまでどのようスタイルが一般的だったのでしょうか? B2BとB2Cでは大きく違いがあり、更には細かな内容はその産業違い、同じ産業でも企業毎によって差異があることは重々承知の上で、ひとことでいうのであれば、属人性の高い対面営業重視の「販売モデル」であるということです。重要なお客様であればあるほど、対面で丁寧にコミュニケーションを重ねて販売する方式が好まれ、一度確立した関係性を継続的に維持していくことを重要視します。

更にB2B製造業においては、既存顧客の売上が非常に重要であり、一つ一つの単価が高い。従って、この属人性の高い対面型の営業スタイルでなければ成り立たない産業が多くあります。ここからは、そのような特徴が強い、B2B製造業に絞ってお話を進めます。

上記のような個別に丁寧に対応する営業スタイルに特徴的な見積の仕方は、営業のみならず設計や生産など多くの部署と相談をしながら提案する見積書を作る業務のやり方です。この見積書を作る上で使うツールはExcelなどのOffice系ソフトを用いることが多く。また、そのファイルをもとに、設計や生産など他部門も含めた担当者間で連絡を取り合うフローも一般的であり、社内の専門家が要求仕様を確認し、時間をかけて見積書を完成させていました。また、最終的には部長や上長などによる見積の承認も求められます。こうした見積業務により、以下のような課題が生じています。

  • 設計や生産に実現性や価格、納期など問合せ対応や見積設計をしないと見積が出せない。

  • 営業の属人的な判断で見積作成をするため、見積内容に不備があることが多く、再見積もりや仕様変更など手戻りが発生する。

  • 手作業で見積文書を作るため作成作業が煩雑で手間がかかる。

  • 過去の見積りがデータベース化されておらず、されていても検索性が悪く、過去の類似案件の流用や、シミュレーションに基づく一貫したコスト試算が難しい。

  • 承認のフローに、部下も上長も時間をとられている。

  • 担当者とのすり合わせに時間がかかる。

  • 電子化されておらず、押印などでオフィスに出社しないと業務が回らない。

多くのB2B製造業がこうした、受注プロセスにおける非効率な見積業務という課題に直面しています。ビジネスとして上流にある「販売モデル」側の属人性や非効率を放置したまま、どれだけ工場内部のプロセスを効率化してもビジネススループットのキャパシティは増えず、またこの属人性の高い見積業務により、工場側のプロセスに対して非効率になる仕様で受注してくるなど、「生産モデル」変革の足かせにすらなる状況になっていました。しかし逆に捉えると、「販売モデル」、特に受注プロセスにおける見積業務の改革は、今までのように工場内に閉じたDXでは無しえない、抜本的な生産性向上を実現するカギと成りうるのです。

上述した課題は現場の負荷を大きくします。しかし、さらに広い視野で見渡すと、顧客への見積提供スピードや提案力が落ちてしまう点が最たる問題です。顧客は比較・検討のため、少しでも早い見積書の提出を期待しています。競合よりも見積書の提出が遅い場合は「対応スピードが遅い企業」と見なされ、そもそも比較のステージに上がれないといったケースもあります。上述した非効率な見積業務では見積書の提出が遅れ、顧客からの信頼を失ってしまう事になりかねません。

また、リソースの圧迫により顧客に提案する製品・サービスの質が低下すると、同じように信頼を落としてしまうことになります。正式な受注の段階に進んだとしても、フローの遅延から短納期になり、さらに業務が圧迫されてしまう可能性を否定できません。

こうした課題を現場の心がけや意識で改善しようとしても限界があります。とりわけ製造業では海外市場をターゲットにする企業が少なくありませんが、海外ではすでにCPQによってこうした課題を解決している競合が多く、競争力を持つのが難しい状況でした。つまり、上述した旧態依然とした見積業務は、日本企業の海外進出を阻んでいる原因のひとつでもあるのです。


CPQ導入が見積業務を変え「販売モデル」を変革させる


上述した、製造業の「販売モデル」変革の足かせとなっていた受注プロセス、その中における見積業務の課題は、CPQの導入によって解決することができます。具体的な影響について、「スピード」「提案力」「社内調整」「ヒューマンエラー」というキーワード毎に分けてお話しましょう。


スピード:見積リードタイム短縮

規定された明確なコンフィグレーションをもとに、正確な見積がスピーディーに実現されます。今まで一度持ち帰って、設計や生産に確認する必要があったような見積でも、CPQを導入することで即日、その場で見積を提出することが可能となります。特に、初期の概算見積を精度高く素早く提示することは、結果的に正式な受注までの期間も短縮さるため、受注後の設計・生産に短納期対応を要求することも避ける事に繋がり、製造業の全社的なリソースの圧迫を回避することにつながります。

また、CPQによるスピーディーな見積であれば、複数回見積を繰り返すことも現実的に可能です。引合い初期に複数案の提示やリテイクの回数を増やすことによって、より顧客のニーズに寄り添えるようになり、適切な仕様の組合せやオプション、カスタマイズの提案につながり、受注単価アップにも貢献することになります。


提案力:受注機会損失低減と受注単価アップ

CPQを導入すると、ベテランの知見をルールに組み込むことで、製品知識の浅い若手や海外拠点や代理店の営業など、お客さまの対面に立つ全ての人たちの提案力のベースアップが可能となります。

見積業務によって消費されていた労力を提案のために使えるようになり、提案力が向上します。提案内容の向上はもちろん、複数の見積を用意することも現実的に可能です。お客様にとって最適な仕様は何か?その様な対話が増えることにより、結果として受注確度の向上にもつながります。


社内調整:業務効率向上

CPQを導入することにより、設計や生産に問合せをしなくても見積書を提出することができます。将来的には、設計レスでカスタム対応を含んだ提案見積、受注を目指す事ができます。これらにより設計や生産の問合せ対応工数、特注設計工数、生産調整工数が大幅に削減され、受注業務に関係してきた全部門において業務効率が向上され、本来業務に大幅にリソースシフトすることができるようになります。

そして、CPQ導入以前のように1つの見積を出すために、バケツリレー方式で関係する各部署へ依頼をかけるといったフローは非効率です。メールでのやり取りも行き違いが生じます。CPQとCRM、ERPが連携する様な仕組みが整えば社内調整が楽になり、社内全体のリソース不足改善につながります。


ヒューマンエラー:仕様ミスによる手戻り防止

統一されたコンフィグレーションをもとにした入力により誤入力などが軽減されるだけでなく、入力された要求・使用条件に最適な仕様の選定、技術計算による妥当性確認をすることで、本来は受けてはならない仕様を受注することを大幅に防ぐことができます。

それでも問題が起きた際には、その問題に対応したルールを追加整備し、ルールを継続的に育てていくことで、同じ間違いを防ぐことにつながり、組織的な問題の再発防止と見積業務における意思決定の属人化による問題を回避することが可能です。

結果として、本来は新規性の高い設計業務に時間をかけたいベテラン設計によるチェック業務負担の提案や、手戻りによる仕様変更、その都度発生する設計業務削減、ならびに調達・生産コスト削減につながり、顧客信頼度向上にもつながります。


まとめ マスカスタマイゼーション実現へ

結論を言うと、B2B製造業においてCPQの導入は労働生産性向上を実現させるための重要なキーソリューションです。これにより得られるメリットは営業の見積作成が楽になるということだけではありません。今まで対応できていなかったより多くの見込み顧客へ、それぞれ個々のお客さまに寄り添った質の高い提案が可能となり、結果的に顧客それぞれのニーズに沿った製品展開を大量生産に近いビジネス効率性を確保したまま提供する、マスカスタマイゼーションの実現に近づきます。

海外市場を見据えている場合、規模の大きい市場に対応し、競争力を高めるためにはマスカスタマイゼーションの実現が不可欠です。特にB2B製造業として、人財獲得・育成が難しい中でもビジネスを継続的に安定して成長させていきたい。そのために抜本的に生産性を向上させたいという課題をお持ちの場合、もしくは海外市場へのビジネス展開を視野に入れている場合は、CPQ導入をキーとした「販売モデル」変革を起点としたモノづくり変革を推進するマスカスタマイゼーションの実現に取り組むべきです。



 
Fleacia CPQロゴ
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