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製造業DXとは? その本質と課題、進まない理由を解説!

更新日:4月9日




製造業におけるデジタル変革(DX)は、生産から流通、販売までのプロセスにデジタルテクノロジーを組み込み、生産性の向上を目指す取り組みです。

 

目覚ましい発展を遂げるデジタルテノロジーを活用することで、製造業も従来のビジネスモデルを変革し、競争上の優位性を確立する必要があります。

 


 

目次

 



製造業におけるDXとは?

 

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

 

DXは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略語であり、

"Trans"が"X"の交差を意味することから、DXと表されます。

 

2004年にスウェーデンのウメオ大学教授であるエリック・ストルターマン氏らが発表した論文によれば、DXは情報技術の普及が人々の生活をポジティブに変革するという概念と定義されています。

この論文では、情報技術があらゆる分野に浸透し、変化をもたらしていると指摘されています。

 

2018年に経済産業省が発表した「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」では、企業が直面する急激なビジネス環境の変化に対応するために、データとデジタル技術を活用し、顧客や社会のニーズに基づいて製品やサービス、ビジネスモデルを変革することが重要であると述べられています。


同時に、業務や組織、プロセス、企業文化などを変革し、競争上の優位性を確立することが目指されています。


 


デジタイゼーションやデジタライゼーションとの違い




 

デジタイゼーションとは?

 

デジタイゼーションとは、いわゆる「デジタル化」のことです。

具体的には、既存のアナログ情報をデジタルデータに変換するなど、業務プロセスの一部をデジタル技術に置き換えることを言います。

 

例としては

  • 紙ベースだった書類の電子化、データベース化

  • 顧客リストをツール(SFA・CRM・MA)などで管理

  • 会場で実施していたセミナーや会議のオンライン化

  • 申請書などの手続きをワークフローアプリケーションの導入・デジタル化

などが挙げられます。

 

特定の業務にデジタル化を取り入れて工数やコストを削減し、効率化する手法がデジタイゼーションです。


 











デジタライゼーションとは?

 

デジタライゼーションは、ビジネスモデルや業務プロセスそのもの変革することで、新たなビジネスモデルを生み出したり、製品やサービスに付加価値を加えたりすることを意味します。

 

例としては、

  • ビデオやDVDのレンタルサービスから動画のストリーミング配信サービスへの移行

  • 自動車を購入・所有するビジネスモデルからカーシェアリングへ

  • 紙の納品書・請求書を手入力、管理する経理業務から、取引発生から会計までを自動入力、管理できるワークフローシステム

  • RPARobotic Process Automation)などのロボット導入による定型業務の自動化

などが挙げられます。

 

例えば、ロボットを活用することで人手不足の解消やミスの防止を実現、人間がよりクリエイティブな業務に専念できるようになるなど、新しいビジネスモデルとして注目を集めています。

 


これらのデジタイゼーション、デジタライゼーションを更に進め、AIやデジタルサイエンスなど、最新のデジタル技術を用いて新しいビジネス価値を創出することが、DX(デジタルトランスフォーメーション)です。

 




 










製造業におけるDXとは?

 

効率化・自動化が進む昨今の製造業において、DXの推進は必要不可欠です。


改めてではありますが、製造業におけるDXは、AIなどのデジタル技術を活用することで従来のやり方ではなしえなかった効率化や売上拡大などの生産性の向上を実現し、そこから生まれた製品やサービスを利用する人々の生活をよりよいものへ変革していくことを指します。

 

経験や勘に依存することが多かった製造業がDXを取り入れることで、さらなる成長・発展が見込まれることから多くの企業が注目しています。

 

しかし、この取り組みにはいくつかの課題があります。


たとえば、従来のシステムとの整合性の問題やデータのセキュリティリスク、また従業員のスキルや風土変革の必要性などがあります。


これらの課題が解決されない場合、製造業DXの進展が遅れる可能性があります。

 


 

製造業でDXの必要性



 

デジタル技術の発展は日進月歩。社会のデジタル化が加速度を増す中、製造業のDX化は早急な対応を求められています。



わが国において、製造業はGDPの20%に及ぶ主要産業ですがその一方、熟練者の技術や経験など、個々人の「属人的要素」に依存していた側面があります。

 

こうした技術や経験をDXに置き換えることで、製品・サービスの品質を維持することはもとより、新たな技術開発の発展を促す役割を持ちます。

DX化により、これまで人力を使って行ってきた工程や運用作業を自動化することで、作業時間やコストを減らし、新たな開発にリソースを集中、製造業の新たな可能性への推進力を高めることができます。

 

昨今、新型コロナウイルスや自然災害、戦争に伴い、社会や顧客ニーズの変動がこれまで以上に大きくなっています。


現場で培われてきた技術やノウハウをデジタル化して共有することで、企業の質的向上や業務、そして経営改革が必要です。



現在の不安定で予測しがたい経済・社会情勢に柔軟に対応できる企業体制を構築するためにも、DX化は必要不可欠です。

 


 

製造業DXのメリット・デメリット

 

製造業DXのメリット

 

製造業がDXを推進するメリットは下記の通りです。

 


1.生産効率の最適化・向上の実現


IT技術やロボットの活用により、製造現場がデジタル化されると、生産性や正確性が向上します。


具体的には

  • 作業時間・工程の短縮

  • 作業人員の縮小

  • 人為的ミスの減少など

が挙げられます。


人が行っていた単純作業や管理業務をデジタル化することで、人的リソースをよりクオリティの高い仕事に配分することが可能です。DXの本来の意義である「価値創造」に、より集中出来るようになります。

 


2.コスト削減


業務効率化によって、コスト削減に繫がります。また、単純作業を自動化することで、人件費も削減できます。


デジタル化によって業務プロセスを可視化・分析することができるようになり、その結果、全体の流れやムダの可視化が可能となりコスト削減が達成出来ます。

 


3.リスク回避


属人的要素が大きい製造業では、旧来の慣習やシステムなど、現状にそぐわないにも関わらず放置されている場合が散見されます。


DX化により、ブラックボックス化している状況を可視化・改善することは、いざという場合の予防的措置になります。災害やシステム障害などの危機的状況の際にも被害を最小限に抑え、業務を持続することが出来ます。

 

 


製造業DXのデメリット

 

DX推進には多くのメリットがある一方、デメリットもあります。考えられるデメリットを3つ挙げます。

 


1.コストがかかる


新システム導入には大きな初期投資とランニングコストがかかります。


システム導入費以外にもDX人材の育成や関連部門からプロジェクト推進メンバーとして参画してもらうなど社内人件費も加わります。

 


2.既存システムからの移行に手間や労力がかかる


DXを推進するには、既存システムから新システムへの移行が不可欠です。


そのため、移行作業そのものの手間に加え、新システムが正常に作動するまで、旧システムと並行して稼働させる必要があったり、社員が新システムに慣れるまでの期間、生産効率が下がることも想定しておかなければなりません。


社員に対して、別途研修やワークショップなどを行うことなども計画にいれておく必要があります。

 


3.すぐに結果が出ない場合もある


DXを導入しても、コスト削減や作業効率の改善など、すぐにメリットを享受できるとは限りません。

上記のように新システムに慣れる時間は必要ですし、トライアンドエラーを重ねる中で、徐々に効果が出てくるケースも多いです。


DX推進を成功させるためには、ある程度の時間とプロセスが必要であることは、認識しておくべきです。

 


 

製造業でDXが進まない理由と課題

 

2023年に発表された「DX白書2023」によると、業種別DX取り組み状況調査では、製造業でDXを実施している企業は全体の22.8%でした。


DXを導入する企業は年々増えてはいるものの、社員の高齢化や人手不足に伴う技能継承の難しさ、設備の老朽化などの慢性的な問題を抱えています。


日本の製造業でDXが進まない理由と主な課題を解説します。




デジタル人材の採用と育成

 

DXを推進するには、デジタルに関する専門知識を持つ人材を採用あるいは育成し、「DX推進部門」などの専任部門を作る必要があります。


しかし、実際に十分なIT知識を持ち推進力もあるDX人材は不足している上に、製造業において社内業務を理解し、且つ部門間の調整能力に長けた人材となると、非常に限られるのが実情です。


人材の採用・育成は必須であることから育成プログラムを構築し、中長期的な計画を立てて行わなければなりません。

 

日進月歩で進化を遂げるAIやIoTなどの最新技術によって、高精度なデータを生成・収集できたとしても、これらを適切に活用できる人材がいなければ意味がありません。



社内に人材がいない場合には、DXの専門家やコンサルティング会社などにサポートを依頼するのもよいでしょう。その際、次世代リーダとなる人材をプロジェクトリーダに登用して、経験を積ませることでDX人材を育成していくことも有効です。

 


データのデジタル化と収集の壁

 

DXを推進するにはデータのデジタル化と収集が必須事項ですが、この点において日本の製造業は非常に消極的です。


生産プロセスに関する設備の稼働状況等のデータ収集を行っている企業は全体の約半数、業務プロセスの改善や海外工場の稼働状況・データ活用の進捗においても、進展はありません。



データのデジタル化と収集があって、初めてDXを実現できます。この壁をどう乗り越えるかが課題です。

 

 

ツール選定の難しさ

 

DXを推進するにはITツールを導入することになりますが、企業の目的・課題に合ったツールを選定するには専門知識が必要であることから難易度が高いです。



適切なツールを導入することができないと、逆に生産効率が下がったり、コストアップにつながる恐れもあります。

 

社内に適切な判断ができる人材がいない場合は、外部人員の活用を検討しなければなりません。


自社の課題を明確にし、その課題を解決できる機能やツールはどれか、また導入後、誰が、どのように運用するのかなど、様々な視点から適切なツール選定を行うようにします。

 

 


製造業DXの事例



 


LSIやプリント基板(PCB)が伴う電子製品メーカー例

 

課題は製品開発、製造現場、全社レベルでの様々な問題がありました。



製品開発では、製品の多様化や納期の短縮が挙げられ、製造現場ではノウハウの伝承や人材不足が課題でした。全社的な課題としては、調達・管理コスト削減や災害対応の強化、事業部門間の連携強化が挙げられます。

 

対処策として、開発プロセスの変革のためのプラットフォームを導入し、製品開発におけるノウハウ共有やリアルタイムのやり取りの円滑化を目指しました。


この取り組みでは、人に依存しない製品開発、必要なツールの開発、プロセスのコンカレント化を全社的に推進しました。オープンソースの活用や、FTCP上のツールを継続的に活用するためのルール整備や監査・評価が行われました。

 

この取り組みにより、製品開発プロセスの手戻りが減少し、品質向上と納期短縮が実現されました。


また、設計段階での不具合抽出や、製造しやすい設計の追求が可能になりました。さらに、設計から製造までの業務のデジタル化により、負荷が軽減されました。

 

 


自動車部品メーカーの例

 

製造データや顧客データの技術開発に関するタイムリーなフィードバックの不足が課題として抱えられていました。


その解決策として、既存のデジタル化データの一元管理を可能にする工場と現場などの部署間の情報共有基盤が構築されました。


 

この取り組みの目的は、現有資産の最大有効活用や未解決の現場の問題のAIによる解決、FA機器からのデータ授受などでした。工場IoTの導入や製造におけるボトムアップの取り組みを通じた段階的な投資や人材育成が行われました。

 

その結果、部門間の取り組みが拡大し、費用対効果が向上し、品質や商品力の向上などの付加価値が実現されました。


これらの取り組みにより、製造データや顧客データの技術開発に関するフィードバックが改善され、製品の品質や競争力が向上しました。

 


 

製造業DXに必要なツールとは?

 

DXを導入したいとは思っても、数多くのDXツールがあり、どれを選べばいいか迷ってしまいます。


ここでは、製造業DXのスタートラインに立つ、顧客ニーズから仕様を決定し、見積もり提示し受注に繋げていく、フロントエンドのプロセスに役立つ代表的なツールを紹介します。

 

 

CPQ

 

CPQとは、「Configure(仕様選定)」「Price(価格算出)」「Quote(見積作成」の頭文字をとった言葉です。


「Configure(仕様選定)」=「顧客が要求する製品構成や製品仕様を決定」、「Price(価格算出)」=「製品構成、仕様に基づいて価格を決定」、「Quote(見積作成)」=「契約に必要な見積書など文書の作成・管理」を意味します。

 

一般的には、顧客要求に適した製品仕様を作り、その製品仕様に対して一定のルールに基づき価格を設定した上で、見積書や仕様書などを作成し、契約を行う一連の業務を支援するITソリューションのことを言います。

 

顧客要求を入力することで仕様確定から見積まで即座に提示できるため、見積リードタイムが短縮されるとともに、経験の浅い若手営業でもミスなく見積を作成することができます。


【参照記事】


















MAツール

 

MAとはMarketing Automation(マーケティング オートメーション)の略称で、メール配信やWebサイトでのコンテンツ表示といった顧客アプローチを自動化できるツールです。


顧客の興味や監視に基づいたコンテンツの提供や、顧客状況に合わせた自動メール配信の他、問い合わせフォームから資料請求した顧客に対して、資料送付やメルマガ配信などを自動化することなどができます。

 

MAによる効果的な情報発信により、顧客と継続的につながりながらマーケティング部門でリードの醸成を行うことができます。




 










SFA(営業支援システム)

 

SFAとは、Sales Force Automation(セールス フォース オートメーション)の略称です。


顧客情報や商談履歴など、営業の中で発生するデータを一元管理できるツールで、営業プロセスの最適化を行い、売上・利益の拡大につなげると共に、営業ノウハウを共有し、営業力のボトムアップにも貢献します。




 












CRM(顧客関係管理システム)

 

CRMとは、Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の略称です。


各商談フェーズにおける顧客を中心としたデータの一元管理により、営業活動だけではなく、その後のサポートも含めた対顧客活動の効率化・関係強化に役立ちます。

また、担当変更時の引継ぎ漏れ防止などにも貢献します。





 










製造業DXを知るための本・関連書籍

 

製造業におけるDXについてより深く知りたい方への関連書籍を紹介します。

 

 

 


 

 

 

まとめ

 

長年、現場で働く人々の経験や勘といった職人技に依存することが多かった日本の製造業。


近年は、昨今のデジタル化の目覚ましい進化の中、競争優位性を維持していくためには、より一層の自動化・作業効率化が求められます。



IoTによるセンサー・データ解析やAIによる機械学習など、最新のテクノロジーを積極的に導入することで、課題の解決、新サービスの開発など、イノベーションを起こすチャンスです。DXを適切に取り入れることが、企業の成長・躍進につながります。


ぜひ適切なツールや方法を見極めて、DXに取り組んでみませんか?






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